MBAで財務会計

MBA

財務会計の初学者を対象に、企業の財務諸表の内容の理解・分析に入口として必要となる財務会計の基本原理の知識の習得を目的とします。

会計とは

会計とは、企業の経済活動に関する情報を記録し、分析することによって、経営者や投資家、財政当局など、さまざまなステークホルダーが経営判断を行うための情報を提供することを目的とします。会計の記録の中心となるのが財務諸表です。

財務諸表の基本

損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書などがありますが、これらの内容を理解するためには、まずは複式簿記の仕組みを学ぶ必要があります。複式簿記とは、財務会計において、借方と貸方の記帳を行うことで、資産、負債、純資産、収益、費用などの会計情報を記録する方法です。この仕組みを理解することによって、財務諸表の作成過程や内容を理解しやすくなります。

会計基準設定の状況

現在、世界的に使われている会計基準は、国際財務報告基準(IFRS)です。IFRSは、国際会計基準審議会(IASB)によって制定され、世界の企業にとって共通の会計基準となっています。IFRSは、企業が財務諸表を作成する際に遵守すべき基準を定めており、企業の財務諸表の作成方法を統一化することを目的としています。これにより、投資家や株主などの利害関係者が、企業の財務状況を比較可能な形で把握できるようになります。

また、各国が独自の会計基準を制定している場合もあります。例えば、日本には日本の会計基準である「企業会計基準(J-GAAP)」があります。J-GAAPは、IFRSと比較していくつかの違いがありますが、基本的な原則は同じです。ただし、J-GAAPとIFRSが異なる点があるため、日本企業が国際市場に進出する際には、IFRSに基づく財務諸表を作成する必要があります。

資産評価の基本原則

企業の資産は、取得時に支払った価格に基づいて記帳されます。しかし、その後の時代の変化や市場価値の変動によって、その資産の価値が変わることがあります。このため、会計基準では、資産の評価について基本原則を定めています。

その基本原則とは、「取得原価優先主義」と「市場価値優先主義」です。取得原価優先主義は、資産の価値を取得時の支払価格で評価することを原則としています。一方、市場価値優先主義は、現在の市場価値に基づいて資産を評価することを原則としています。

このように、資産評価には基本原則がありますが、実際の企業の資産評価には、さまざまな課題があります。例えば、土地や建物などの不動産資産の場合、時代や場所によって価格が大きく変動することがあります。また、企業が所有する特許や商標などの無形資産の評価も難しい課題の1つです。

損益計算書の基本原則

損益計算書は、ある期間における企業の収益と費用を記録する財務諸表の一つです。企業がどの程度の利益を生み出し、どの程度の費用を負担しているかを示すものであり、経営状況を把握する上で非常に重要な情報源となります。

損益計算書の基本原則として、以下の3つが挙げられます。

  1. 原価計算の原則:販売した商品や提供したサービスの原価を正確に計算し、利益を算出することが求められます。
  2. 期間の原則:損益計算書はある期間における収益と費用を記録するものであり、企業が利益を得た期間と費用を負担した期間が一致するように作成することが求められます。
  3. 収益認識の原則:売上高と費用は、その発生時期に基づいて記録することが求められます。つまり、商品やサービスが提供された時点で売上高を認識し、また、費用が発生した時点で費用を認識することが求められます。

財務分析の基本

財務分析とは、企業の財務諸表を分析することで、企業の経営状態を判断することです。財務諸表は、資産負債表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つの報告書から成り立っています。

財務分析の目的は、企業の経営状態を判断することですが、具体的には以下のようなことが挙げられます。

  • 経営の安定性を判断する
  • 収益性や生産性を評価する
  • 財務的なリスクを把握する
  • 経営方針の妥当性を判断する

それでは、財務分析の手法について見ていきましょう。財務分析の手法には、比較分析、垂直分析、横断分析、トレンド分析、比率分析などがあります。これらの手法を使って、財務諸表の各項目を分析することで、企業の経営状態を把握することができます。

企業集団と財務報告-連結とキャッシュフロー計算書

企業集団とは、複数の会社が一つのグループとなっている状態のことを指します。親会社が子会社を持つ形態が一般的です。このような企業集団においては、親会社が子会社を支配するため、子会社の財務状況も親会社の財務状況に大きく影響します。

そこで、連結決算という方法が用いられます。連結決算とは、企業集団内の全ての会社の財務諸表を統合して一つの財務諸表を作成することです。このようにして作成された財務諸表を連結財務諸表と呼びます。

次に、キャッシュフロー計算書についてです。キャッシュフロー計算書とは、企業のキャッシュフロー(現金の出入り)を表した財務諸表です。この財務諸表では、企業の営業活動、投資活動、財務活動からのキャッシュフローを示します。キャッシュフロー計算書は、企業のキャッシュフロー状況を把握する上で非常に重要な情報源となります。

設備投資活動の見方-有形固定資産と無形固定資産

有形固定資産とは、建物、機械装置、車両など、物理的に存在する固定資産のことを指します。一方、無形固定資産は、特許、商標、ソフトウェア、営業権など、物理的には存在しないけれども企業の価値を形成する固定資産のことを指します。

有形固定資産に関しては、償却費や設備投資などを把握することが重要です。償却費は、有形固定資産を減価償却するために必要な費用で、年度ごとの償却費を把握することで、企業の設備投資の傾向を知ることができます。

無形固定資産に関しては、その資産の価値を正確に把握することが重要です。特に、買収に伴う無形固定資産の処理には注意が必要です。買収によって得た無形固定資産は、取得価額から償却を行います。ただし、その価値が永続的に減少する場合は、減損損失を計上する必要があります。

資金調達活動の見方-新株発行と有利子負債

新株発行は企業が新しい株式を発行し、新たな株主から資金を調達する方法です。新株発行によって調達された資金は、資金調達活動の一部として貸借対照表やキャッシュフロー計算書に反映されます。

利子負債は、企業が債務を負い、それに対して利息を支払う必要がある負債のことです。有利子負債は主に銀行からの借入や社債の発行などによって調達されます。有利子負債による調達は、企業が借入金を返済する際に利息を支払う必要があるため、企業の負担となります。

それぞれに利点やデメリットがあります。新株発行は新たな株主からの資金調達が可能であり、株式を発行することによる株主の持ち分の希薄化や株価の影響を考慮する必要があります。一方、有利子負債は利息を支払う必要があるため、返済負担がある一方で、株式発行に伴う株価の影響を受けない利点があります。

資金運用活動の見方-金融資産

金融資産は企業が所有する金融市場における投資や貸借などの取引に使用される資産であり、主に投資目的や短期的な資金運用のために保有されます。

金融資産は、企業の貸借対照表の資産の中で流動資産に分類されることが一般的です。また、金融資産は一般に市場価格の変動により評価され、期末の市場価格に基づいて評価額が反映されることが多いです。

金融資産には、株式、債券、短期金融商品などがあり、それぞれ異なる特性やリスクを持っています。また、金融資産は売却される場合や償還される場合にキャッシュフローを生み出すことがあります。

金融資産の運用には、リスク管理や収益性の最適化などの考慮が必要であり、企業の資金運用戦略や投資ポリシーに合致するように運用されることが重要です。

金融資産に関する貸借対照表の記載方法や金融資産の評価方法についても学びました。金融資産の評価には、時価法や償却法などの方法があり、企業の会計基準や規則に従って適切に評価される必要があります。

また、金融資産に関する財務分析の方法や指標についても学びました。例えば、金融資産の運用効率や収益性を測るための指標として、利回りや収益率などがあります。

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